qrcode.png
http://www.takanawasou.jp/
モバイルサイトにアクセス!
社会福祉法人北条福祉協会
〒799-2414
愛媛県松山市立岩中村甲345番地
TEL.089-996-0333
FAX.089-996-0047
006571
 

理事長のひとりごと

   
お接待
 この3月17日のことである。寒い日が続いていたのに、この日は珍しく暖かい春日和であった。  その気持ち良さに誘われて、午後散歩に出かけた。瀬戸の海は静かに凪いでいた。海辺に沿い粟井川堤に沿って歩いた。いつもの散歩道である。  川の水はこの日は殊の外澄んでいて、このまま飲めるのではないかと思える位であった。川底まで透き通り、さざ波は日の光を曲げて、美しい紋様を川底の砂の上に描きながら、海の方に流れていた。  少し離れたところに一番いの鴨がいて、これは皆北の国に飛び去ったのに群れと外れたのであろうか、のんびりと、そんなことを気に掛ける様子もなく、何か食べ物を探している様子。  粟井橋まで来ると、早咲きの紅早桜というのかもしれない桜が、土手に少しばかり咲いていて、カメラを持った人が2,3人シャッターを切っていた。もう此処には春が来ているのである。  南側の川土手の遊歩道が僕のいつもの散歩コースである。  誰にも会わない唯一人の静かな足音、それを確かめながらの散歩である。このような時、目の調子が余り宜しくない。  昨年白内障の手術を受け、眼はよく見えるようになったが、その時入れた人工レンズの焦点がうまく合っていないために、両眼の視軸が少しずれていて動眼筋に余分の力が要るために眼が疲れやすい。この手術は、医師の非常に難しい手技によっても、確実に視軸を合わせるのは難しいのであろう。見えるようになっただけでも幸とすべきであろう。  ただ、ちょっと焦点を合わせる努力をしないと、例えば、字を読んでいてもその像が二重になって、読みづらい。新聞などで文字が小さいので、ひょっとすると行を違えて、同じ行を目がたどったりする不便がある。これはつらいが仕方なし。  折り返しの処で土手に腰を下ろして休んでいると、向こうから、普通はこの道に入ってこられないお遍路さんが2人やってきた。若い外国人であった。  2人共に髭をのばしているので、それが赤髭のようで年齢が分かりにくい。ドイツから日本の大学(早稲田大、筑波大)に1年間の留学で、9月から今年の8月末までだそうである。  「瀬戸内海が美しい」とのことで旧道から海側に出て、この細い道を歩いて来たのであった。  2人とも背は高くよく見るとともにすごい「美男子」。春休みなので四国遍路を思いついた由。  僕はドイツ語は相当に長い間馴染んできた筈だが、本場の会話はその機会がなく、僕のそれは全く的外れ的発音であり、相手に通じる発音は大変難しかったのである。  彼らは日本に来て半年を過ぎているので片言の日本語が出来て、また英語も話せるので…。これらの言葉のちゃんぽんで結構意志は通じる、この不思議。  ベルリンとフランクフルトの中間にある、何とか言う町の出身だとか。それでも人口20万である。大学もあって、良い街だそうである。  歩き遍路であるから、この四国の自然がよくわかり、素晴らしい国だと、感心していた。  重い荷物を背負っての旅、それでもよい経験になるだろう。髪を肩まで伸ばしたまあ近代青年「我家にちょっと立ち寄って休んだら…」と一緒に歩きながら、会話はいろいろと。兎に角、僕のドイツ語の発音は全く駄目であることが良く分かった。微妙に違うのである。いやその処が大事なのだが…。英語だって、似たようなもの…。それでも思いは通じるのであった。  早稲田大学に留学しているのは22歳、筑波大学の方は25歳、名も聞いたが耳から入っただけなのですぐ忘れたが…。何を学んでいるかも聞いたがもう忘れてしまった。  我が家の2階に上がってもらい、コーヒーや果物をサービス、しばらく休んで頂く。  妻は初めはびっくりしていたが、やがて馴れた。2人も木造の家が「めずらしい」と言って喜んでいた。また年寄り2人の住宅なので静かなこと。この静かさが彼らが今住んでいる大都会と違っていてそれが、うれしい様子であった。「大好きである」とも言っていた。  みかんの「甘平」を出してあげたら珍しいらしく、「これはおいしい」と日本語だ。  ドイツの海に比べるとこの瀬戸内海は美しい、感動的だとのこと。毎日眺めているとその感動は僕たちにはなかったが…。  確かにあのドイツから北方に広がる北海は灰色で海の色も暗く、この瀬戸内海は目に染みるのであろう。  冷たい水をコップ一杯、一気に飲み干して、満足気であった。いわゆる「お接待」をしてあげたわけで、妻は「さわやか」な人たちと感想をもらした、一刻であった。  また、国道196号まで連れて行ってあげたが…。四国遍路をされている外国人に一時の安らぎを味わってもらえた。彼らの心の角に日本の思い出として、留まってくれたらそれで良い。
<<社会福祉法人北条福祉協会>> 〒799-2414 愛媛県松山市立岩中村甲345番地 TEL:089-996-0333 FAX:089-996-0047